顕著に進むクラウド化、ビッグデータの活用から広がるIoTと、IT業界は今まさに変革の真っただ中にあると言えます。その動向や、業界内で今後必要とされる人材について、日本マイクロソフト社の斎藤俊治氏をお招きし、当社トレーナーとの対談を実施しました。これからのIT分野に携わるにあたって、どのようなスキルが求められているのか。
また自らの価値をいかにして高め、それをどのように証明していくのか。
IT技術者の未来へ向けて、熱弁が交わされました。



対談の内容をPDFでもご覧いただけます

成長分野で求められる、技術の応用力と発想のアイデア

IT分野が大きな転換期を迎え、私たちも技術者のみなさんに求められるスキルが変わってきていると実感しています。そこに期待を寄せている方もいれば、不安に感じている方もいるようですが、斎藤さんはIT分野の今後の動向を、どのように捉えていらっしゃいますか。

成長や投資が期待されている5つの柱があり、私はITの今後は明るいと見ています。一つはデータエクスプロージョン。ビッグデータについては今後10年間で44倍になると言われています。ちなみに現在世の中にあるデータの90%は、直近の2年間に形成されたものと言われています。そしてモビリティ。一人あたり4.3台のモバイルデバイスが近いうちに行きわたることになるでしょう。IoTも顕著ですね。これまでインターネットに接続されるものといえば、携帯電話やスマートフォン、タブレットと言ったモバイル端末、ラップトップやデスクトップ、サーバなどが主流でしたが、それらはすでに5割を切っており、家電、自動車、時計、健康医療機器などに搭載されているセンサー群の接続が急激に増えています。2015年末までに300億のセンサーが接続されると言われています。またサイバー犯罪の増加にともないセキュリティについても重要性が増してくるでしょう。最後に何と言ってもクラウド。先に挙げた4つの柱も包含され、莫大な市場規模になります。2017年には10兆円規模になるとの試算も出ています。

膨大なデータの活用、デバイスの多様化、セキュリティの強化が進み、身の回りのあらゆるものがインターネットに接続され、そしてクラウド化への対応が必須になる中で、技術者には幅広いスキルが求められることになりますね。

いま活発にクラウドについて語られていますが、まだ実際には応用が始まったばかりで、それだけに今後の可能性は大きいでしょう。現在はオンプレミスで運用されているミッションクリティカルなアプリケーションも、ゆくゆくはクラウドサービスによって提供できる時代が来ると思います。レスポンスタイムが重要なアプリケーションはまだクラウドに移行できませんが、セキュアで常時ブロードバンド接続が保証されたネットワークとデータセンターサービスのSLA(サービス品質保証)がエンド – エンドできちんと定義できるようになれば、あらゆるアプリケーションがクラウド上で稼働するという時代が来ると思います。

めまぐるしい変化に応じて、技術習得のスピードを加速させていかなければなりませんね。いままでは「5年ごとのハードウェアのリプレイスに合わせてOSを入れ替えるから、それに応じて新しい知識を勉強しよう」というイメージでしたが、今後は常に最新の情報を探して、学び続けることが求められます。

これまでは新製品が出ていても、実際に導入するのは一つ前のバージョンだったりしました。安定稼働していることを確認していたからです。そのため新製品や新たな技術を学ぶ猶予がありました。クラウドが主流になるとそうはいきません。“バージョン”という概念はなくなり、常に新たな技術が求められるようになります。そこで前向きに新しい知識を得ようという意欲を持っていることが、これからの技術者に必要な要件のひとつでしょうね。

テクノロジーの進化とともに技術者への要求も変わってくるわけですが、自身の持っている知識やスキルと、それを用いて何ができるのかを明確に伝える能力も、よりいっそう重要になってきますよね。

斎藤さんは先ほど「クラウドはまだ始まったばかり」とおっしゃっていましたが、だからこそ今がチャンス。求められるのは多様なアイデアを出すための発想力や柔軟性だと感じています。これまでのように製品について学ぶだけでは対応できなくなってくるでしょうね。

誰もが簡単に利用できるようになったITをどのように活用するのか、利活用の支援や提案が技術者の大きな役割になってくるはずですね。

そしてもう一つ付け加えたいのは、英会話のスキルがよりいっそう必要になるということ。グローバルな競争力も今後の課題ですので、そこは避けては通れません。アジア30の国と地域で実施された英語能力判定テストTOEFLにおいて、平均点ランキングで日本は27位でしたから。これは国際競争力の足枷になっています。

最初に提供される技術ドキュメントが英語であることからも、前提として英語力が必要だということを理解していただきたいと思いますね。


資格をスキルの証にし、高め合う意識を職場で共有する

ITの利活用を支援するために、幅広い知識やスキルが求められる技術者にとって、それらが備わっていることを証明するのは困難です。その大きな助けになるのが資格だと思います。

クラウドの試験が昨年末頃に始まったばかりで、このタイミングでクラウドの資格を持っているということは最先端の技術や知識があるという証明になり、価値がありますよね。先ほど斎藤さんもおっしゃっていましたが、技術者が自分の能力を示し、道を切り開いていかなければならない時代で、自身の力量の証明にもなるわけですよね。

まさに強みの証明です。例えば企業内で働いているエンジニアの方は、自身の業務パフォーマンスやキャリア開発に関して、その達成度を会社に示さなければならないわけですが、その上で資格取得は非常に明確な指標になると思います。

取得した資格というのは、そのまま技術者としての価値です。そして資格試験に合格したということは、偏った狭い範囲のことだけを知っているのではなく、一通り網羅的に必要なことを学び、知識を得たことを意味します。

やはり時代に合わせて何が必要なのか、常に意識して学んでいくことで、求められる人材になれるのではないでしょうか。そのためには自分がいる会社の中だけを基準にしないで、広く世界の動向を意識すべきですね。

グローバルな競争という観点でも、資格取得は重要です。企業の競争力を示す一つの指標として資格取得者数がありますが、日本は中国やインドに抜かれてアジアでの地位を落としています。とくに冒頭で私がお話しした、期待される5つの分野において、日本は資格取得者が圧倒的に不足しています。これは技術者にとってはチャンスでもあるので、これらの分野の技術や知識を持ち、それを証明する資格を活用して仕事をされる方にとっては、ITの分野は非常に明るいと思いますよ。

様々な企業に向けてトレーニングをする機会をいただいていますが、新たな技術を求める意識には驚くほど開きがあります。クラウドを導入している企業か否かで意識に違いはありますし、同じ企業内でも技術者の世代などによって個人差はあります。仮に自身の職場に危機感がないからといって、安心していてはいけないのではないでしょうか。今や、競うべき相手は社内の同僚や国内の競合企業だけではありません。世界を見据えて貪欲に学んでいくことで、社内でも同じ意識を持つメンバーが増え、結果として会社全体がレベルアップし、国際競争力がついていくと思います。

そういう社員は、会社にとって非常に有難い人材ですね。また視点を変えると、技術習得に熱心なエンジニアに対して、スキルを磨く手段を提供したり資格取得を支援してくれたりする会社であれば、自身に投資をしてくれる会社だという見方が社員に生まれてきます。そういう社員が複数集まれば、やがてそれが会社の文化になり、社員に対するリテンションになって、優秀な社員を囲い込めるという好循環につながることでしょう。

それにはまず、自身のスキルアップによって会社に何をもたらすことができるかを技術者が示さなくてはならない。ここでも自らの価値を示す提案力が問われるというわけですね。


資格取得の最短ルート=認定トレーニング

仕事をしながら、通常の業務との距離に開きのある新たな知識や技術を継続的に修得していくというのは、とても大変なことだと思いますが、そのためのコツはありますか。

私が前職で資格取得に励んでいた頃は、資格対策書を通勤電車で読み、試したいことは帰宅後に自身で構築したサーバで検証するという方法で学んでいました。それが今では無償で一カ月使えるテスト環境がOffice365やMicrosoft Azure等で用意されているので、自宅や会社でも、お金をかけずに学ぶことができるようになりました。これらの環境を有効活用すると良いと思います。

クラウドができたことで、疑問に思ったことを検証しやすい環境になりました。クラウドを活用することでハードを購入する必要がなくなりましたらからね。そして得た知識を社内で共有することも重要だと思っています。斎藤さんのお話にもありましたが、情報共有を『社内の文化』として定着させることで、スキルアップに対する意欲も向上すると思います。

示していただいた様々な勉強法は、どれも技術者にとって非常に参考になりますね。一方で、やはり個人の力だけで資格を取るには大変な時間と労力を要します。効率的に、そしてより確実に資格を取得するには、やはり認定トレーニングであるマイクロソフトオフィシャルカリキュラム(通称MOC)を受講していただくのが一番の近道ですね。

MOCは、1人1台の演習環境を使用して、数日間集中して研修を受けることで、必要な知識や技術を体系的に効率よく学ぶことができますからね。MOC は約20名の受講者数で開催されることもあり、トレーナーがお1人お1人の疑問点にも分かりやすく回答するので、理解も深まりますし、演習を通して、さまざまな検証を行うことができるので、実務上の即効性も高いと思います。

このほか、マイクロソフトパートナーのみなさまは、mstepという無償トレーニングを活用するのも一つの手だと思います。mstep では、トレーナーが行う講義とデモンストレーションを通じて、製品の概要や活用法などを短時間で知ることができます。ですから、はじめにmstepで製品の概要を把握し、その上で、その資格に対応したMOCを受講されると、より深く技術を学習したうえで、効率的に資格を取得できると思います。

活用できるものは全て最大限に利用して、技術の研鑽に励んでいただきたいと思います。

私たちも技術者の方々のお力になれるよう、今後とも充実した研修をご提供できるよう、努力し続けていきます。本日は有難うございました。


この対談は2015年4月に実施されました。

マイクロソフトオフィシャルコース(MOC)

技術者に必要な知識・技術について体系的に学べる、誰もが活用できる有償のトレーニング。1人1台実機を用いた実践的な研修であり、一定期間(最短のコースで3日ほど)集中して学ぶことで、技術者にとって実用度の高い内容となっている。MCP 試験にも対応しているため、資格取得に必要な知識を効率的に学ぶこともできる。

mstep

マイクロソフトパートナー向けの無料セミナー。トレーナーによる講義とデモンストレーションを通じて、製品の概要や活用法を効果的に知ることができる。短時間のクラスルームが用意されているほか、オンライン研修を利用すれば空き時間での受講も可能。コンピテンシーの有無にかかわらず受講できるが、社員登録が必要。

Profile

日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトラーニング セールスリード。
2007年から2011年までマイクロソフト インキュベーションセールスマネージャを務め、日本におけるOffice365、Microsoft Azureの立ち上げに貢献。日本マイクロソフト入社前は、海外計測機器輸入商社、USベンチャーの立ち上げを経て、1999年より日本アバイア株式会社にて、プロダクトマーケティングシニアマネージャとして日本におけるIPテレフォニー製品のローカライズおよびコンタクトセンターソリューションの責任者。2002年よりBTジャパン株式会社にて、ビジネス開発ディレクターとして国際データネットワークおよびICTアウトソーシングの設計および案件クロージングの担当を経験している。社外では日経世界情報通信サミットメンバー、JIPDEC 情報セキュリティ専門部会委員などを歴任。

マイクロソフト認定トレーナー(MCT)。マイクロソフト MVP(Most Valuable Professional)として活動し、マイクロソフト製品のトレーニング開発と実施、関連書籍の執筆に携わっている。トレーニングは、マイクロソフト認定コース、パートナー様向けクラスルームトレーニングの他、Webキャストのオンライントレーニングも担当。主な著書は、「MCP教科書 Windows Server 2012(70-410、70-411、70-412)」、「ひと目でわかる Exchange Server」、「ひと目でわかる AD FS 2.0 & Office 365連携」など。

担当している主な研修分野

  • Azure Active Directory
  • Directory Services(AD DS、AD FS)
  • Office 365
  • Exchange Server

これまでの受賞歴受賞

  • MCT(Microsoft Certified Trainer)
  • Microsoft Learning Partner Award
    Microsoft Certified Trainer 部門 優秀賞 受賞
    (1998、1999、2005、2006、2011年)
  • Microsoft パートナー トレーニング
    mstep Instructor Award 受賞(2011年)
    ※ 2011年、トレーナー アワード ダブル受賞
  • Microsoft MVP「Exchange Server」受賞
    (2006、2007、2008年)3年連続
  • Microsoft MVP「Windows Server - Directory Services」受賞(2005、2010、2011、2012、2013、2014年)5年連続、計6回

マイクロソフト認定トレーナー(MCT)。マイクロソフト MVP(Most Valuable Professional)として活動しており、マイクロソフトの認定トレーニングや、パートナー様向けクラスルームトレーニングの実施とコンテンツ開発、Webキャストのオンライントレーニングを担当。主な著書は、「MCP教科書 Windows Server 2012(70-410、70-411、70-412)」、「MCP教科書 Windows 8」など。

担当している主な研修分野

  • Windows Server
  • Windows クライアント
  • SharePoint Server
  • Surface
  • クライアント展開

これまでの受賞歴受賞

  • MCT(Microsoft Certified Trainer)
  • Microsoft Learning Partner Award
    Microsoft Certified Trainer 部門 新人賞 受賞(2008年)
  • Microsoft MVP「Surface」受賞(2014年)

お問い合わせ

エディフィストラーニング株式会社

フリーダイヤルがつながらない場合:03-3282-1311


甲田トレーナーはマイクロソフト認定ラーニング パートナーとの対談にも参加しています。