6.1 【設問】受発注(2/3)

6.1.1 受発注エンティティの見直し

例題5 営業判断による値引きを可能にする

まず、業務の現状と要望事項を説明します。それを把握した上で、続く問題に答えなさい。

企業全体の値引き企画を適用するだけでなく、営業判断で交渉価格を設定できる柔軟性をもたせたい、という要件があります。
また、その場合、上司の承認を経た上で値引きを確定できるようにする必要がある、という要求がありました。

この仕様を満たすため、アプリケーション開発チームから次の要望がでました。

  • 営業判断による値引き承認がわかるような設計にしてほしい
  • 営業判断による値引きが生じた場合、承認を確認できるような属性を考慮してほしい

問題

上記の要件を考慮して、今まで作成したモデルを見直してください。

ヒント

営業判断による値引きというルールの追加処理は値引きルールエンティティに1行追加するだけで実装できます。
ただし、「90 営業判断による値引き」の場合、受注明細単位で上司の承認を必要とする部分に関しては、アプリケーション開発チームから新たな要望が出ています。
これに対応します。

営業判断による値引き「金額」「理由」は、受注単位、または明細単位で管理すべき情報です。
モデルにどのように反映させるべきでしょうか。

解答

ER図に変更はありません。
値引きルール:定義変更なし
*ルール番号  
 コメント  
10  商品に関係なく受注伝票全体から一定額値引き
20  商品による、単価ごとの一定額値引き
30  商品ごとのまとめ買いによる一定額単価値引き
90  営業判断による値引き
110  全体から%引き
120  単価で%引き
130  商品ごとのまとめ買いによる単価%引き
 
値引き詳細 :変更なし
*値引き詳細番号  
 ルール番号(FK1) 
 値引き名前  
 全体値引き時、合計金額下限 (全体値引きの際に使用)
 全体値引き時、合計金額上限 (全体値引きの際に使用)
 値引き商品コード(FK2)(単価値引きの際に使用)
 値引き商品個数下限値 (まとめ買いの際に使用)
 値引き商品個数上限値 (まとめ買いの際に使用)
 値引き期間開始日付 (期間限定の際に使用、単価でも全体でも)
 値引き期間終了日付 (期間限定の際に使用、単価でも全体でも)
 値引き額  
 値引きパーセント  
 値引きルールコメント  
 
受注 :属性追加
*受注注文番号  
 客先注文番号  
 受注日付  
 受注顧客コード(FK1) 
 受注社員コード(FK2) 
 値引き承認社員コード(FK3) 
 受注部門コード(FK4) 
 値引き詳細番号(FK5) 
 営業値引き承認フラグ 1.
 営業値引き理由 2.
 営業値引き非承認理由 3.
 消費税額(導出) 
 税抜受注金額合計(導出) 
 納入希望日  
 摘要  
 
スーパータイプ:受注明細 :属性追加
*受注注文番号(FK1) 
*商品コード(FK2) 
 値引き詳細番号(FK3) 
 営業値引き承認フラグ 1.
 営業値引き理由 2.
 営業値引き非承認理由 3.
 消費税額(導出) 
 税抜金額(導出) 
 予定納期日付  
 受注数量  
 変更後最終受注数量  
 ステータス  

解説
(注:番号は解答中の番号と対応します。番号が記載されていない解説は全体に当てはまります)

どのような値引きの種類であれ、値引きの計算方法については、前述の「値引きルール」と「値引き詳細」で選択できます。
営業判断による値引きに関する属性として、以下を考慮します。

  1. 営業判断による値引きであれば値引きルールの「90」を選択する
  2. 営業判断による値引きであれば値引きルールの「90」を選択する
  3. 承認できない場合、非承認の理由を記述する属性が必要
  • 営業値引きをする単位は、伝票1枚の場合も、商品単位の場合も考えられる

上記より、「受注」エンティティと「受注明細」スーパータイプエンティティに属性「値引き詳細番号」、「営業値引き理由」、「営業値引き非承認理由」を追加しました。

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解説トレーナー

Oracle / 上流工程 担当 中村 才千代

データベース設計、システム構築の上流~下流工程全般のインストラクターです。SE時代の経験を生かし「業務を知るエンジニアこそDB設計に関わるべき」「DB設計に携わるエンジニアは業務を知る人に知恵を貸してもらう」ことを伝えたいと思っています。

■認定・受賞

2000年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞
2002年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞

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