2.1 概念設計の目的

できるエンジニアになるためのちょい上DB術/第2章 概念設計

2.1 概念設計の目的

概念設計では、業務で扱う情報を整理し、概念ER図として表します。
概念設計は、後工程である論理設計、物理設計の基礎となる最も大切なフェーズです。
この後、システム化していくうえで必要な情報を整理し、それを正規化された形で概念ER図としてまとめるのが概念設計の目的です。
この工程で大切なのは、以下の点を意識して設計することです。

  • 1. 企業の方向性を認識し、拡張性の高いデータベース設計を行う
  • 2. 既存業務で使用している画面や伝票、帳票を使って、漏れのない設計を行う
  • 3. 正規形を満たした理想的な形を作成する
  • 4. システムの方式に依存しないモデルを作成する

特に1.は、システムを構築する際、現状だけを分析して視野の狭い設計にするのではなく、将来的な全体像を描いたうえで、段階的にシステム化を計画することの重要性を指摘しています。
そうしないと、結局同じようなシステムを重複して構築してしまうような無駄な投資や、一貫性のないデータをあちこちにもってしまうなど、企業として整合性のとれないシステムを構築することになってしまいます。

これを実践するために、データベース設計の上流工程では、トップダウンの工程を取り入れます。 概念設計では次のスキルが求められます。

  • 企業戦略
  • 業務知識
  • データを整理するスキル

この3つは、それぞれスキルを保有する担当者が異なるのが一般的でしょう。
「企業戦略」は経営層、「業務知識」は業務担当者、「データを整理するスキル」はデータベース設計者が専門であり、これらの担当者が協力して初めて使えるデータベースを構築することができます。
多くの場合、データベース設計者(コンサルタントなど)が、経営層や業務担当者にヒアリングを行って、管理すべきデータを整理していきます。
設計者のコミュニケーションスキルがこの後の設計を左右するといっても過言ではないでしょう。

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解説トレーナー

Oracle / 上流工程 担当 中村 才千代

データベース設計、システム構築の上流~下流工程全般のインストラクターです。SE時代の経験を生かし「業務を知るエンジニアこそDB設計に関わるべき」「DB設計に携わるエンジニアは業務を知る人に知恵を貸してもらう」ことを伝えたいと思っています。

■認定・受賞

2000年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞
2002年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞

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