5.1 モデル企業の会社概要と業務概要

5.1 モデル企業の会社概要と業務概要

第5章以降では「実践」として、データベースの設計だけではなく、アプリケーション開発の作業とどのように連携をとりながら作業を進めていくか、主要なパターンを題材として学習していきます。

これから、データベース設計を行うモデルとなる企業の会社概要と業務内容を紹介します。
会社名は翼商事といい、業務内容は流通業務です。
モデリングするのは、「顧客から注文を受け、商品を出荷・配送して顧客より入金される」までの業務に必要なデータです。

以下に、翼商事の会社概要と簡単な業務内容、システム化するための要求事項を示します。

会社概要

事業内容 カジュアル衣料品の仕入・販売
従業員 約1,000人
社内組織 調達部門、倉庫管理部門、商品開発部門、本社機構、経理部門、営業所(国内に30箇所、海外拠点は韓国とアメリカに各1箇所)
衣料品倉庫 各営業所の近くに1箇所ずつ、国内に30箇所、海外に2箇所
顧客 流通業関係の系列会社を含め、約300社
販売形態 ショッピングモールや、大手スーパー、デパートなどの取引先からまとめて注文を受け、販売
仕入先 約100社
仕入形態 商品の製造を依頼し、発注
商品数 約15,000品目。主商品は各季節のカジュアル衣料品

 表5-1 会社概要

業務概要

営業所では顧客から注文を受け付けます。
顧客から注文を受けた場合、希望納期ごとに、国内の倉庫にある在庫が確認され、在庫がある場合は引当、在庫が足りない場合は、仕入れに必要な日数を計算して暫定納期を顧客に告げ、希望納期に間に合わなくても発注するかどうかを確認します。

受注が確定したら、倉庫へ出荷指示が出され、顧客により指定された納品場所へ出荷されます。
出荷と同時に売上が計上されます。

売上計上された商品の請求書は、月に一度、顧客ごとの〆日に合わせて作成、発行します。
請求書どおりに入金されたかどうかは、顧客別の支払い条件に基づいて確認します。

未在庫商品分の受注については、調達部門に依頼し、仕入先に発注処理を行います。
発注形態には、このような商品不足時の緊急発注と、翼商事の計画的な発注の2とおりがあります。

発注した商品が入荷されたら、検収した上で仕入れ計上し、商品は入庫します。仕入計上した商品の支払いは、月に一度支払い処理を行います。

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解説トレーナー

Oracle / 上流工程 担当 中村 才千代

データベース設計、システム構築の上流~下流工程全般のインストラクターです。SE時代の経験を生かし「業務を知るエンジニアこそDB設計に関わるべき」「DB設計に携わるエンジニアは業務を知る人に知恵を貸してもらう」ことを伝えたいと思っています。

■認定・受賞

2000年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞
2002年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞

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