6.2 【設問】受発注~入出荷

6.2 【設問】受発注~入出荷

6.2.4 倉庫、入出庫エンティティの検討

これまでは、倉庫にある商品の在庫を管理するために「商品有高表」を使用していました。
これは、倉庫ごと、商品ごとに入庫と出庫を管理しており、ある時点での在庫数量を確認できるようにしていました。

しかし、実際の商品在庫数は、ほかにも次のようなイベントによって常に変動しています。

  • 仕入による入庫
  • 返品による入庫
  • 売上による出庫
  • 返品による出庫
  • 廃棄処分による出庫
  • 倉庫間移動による入出庫

また、商品在庫として管理すべき情報は、現在の在庫数だけでは足りません。
顧客から受注を受ける際には、在庫商品ごとに、すでに引き当てられている在庫数を実在庫数から減算した、引当可能数量を確実に把握しておく必要があります。

問題

「倉庫」エンティティで管理されるべき一般的な属性を検討してください。
そして、倉庫に在庫される商品の入出庫個数を管理するために、入出庫を管理するためのエンティティを考えてください。
「商品」エンティティの分析は後ほど行いますので、必要最低限の属性だけ挙げておいてください。
「在庫」エンティティの分析は次の単元で行います。

解答

倉庫 1.
* 倉庫コード    
  倉庫名前    
  倉庫住所    
  倉庫電話番号    
  倉庫FAX番号    
  倉庫担当部門 (FK)  
  倉庫担当責任者 (FK)  
 
商品(仮)
* 商品コード    
  商品名前    
 
スーパータイプ:入庫予実績管理 2.
* 入庫管理番号    
  倉庫コード (FK1)  
  商品コード (FK2)  
  日付    
  入庫予定数量    
  入庫実数量    
 
サブタイプ:入庫予実績明細仕入 3.
* 入庫管理番号 (FK1)  
  倉庫コード (FK1)  
  発注番号 (FK2)  
  発注明細番号 (FK2)  
  入荷仕入番号 (FK3)  
  入荷仕入明細番号 (FK3)  
 
サブタイプ:入庫予実績明細返品 4.
* 入庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  入荷仕入番号 (FK2)  
  入荷仕入明細番号 (FK2)  
  返品数量    
 
サブタイプ:入庫予実績明細転送 5.
* 入庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  転送番号 (FK2)  
  転送明細番号 (FK2)  
 
スーパータイプ:出庫予実績管理 6.
* 出庫管理番号    
  倉庫コード (FK1)  
  商品コード (FK2)  
  日付    
  出庫予定数量 (導出)  
  出庫実数量 (導出)  
 
サブタイプ:出庫予実績明細売上 7.
* 出庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  受注番号 (FK2)  
  受注明細番号 (FK2)  
  売上番号 (FK3)  
  売上明細番号 (FK3)  
 
サブタイプ:出庫予実績明細返品
* 出庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  仕入番号 (FK2)  
  仕入明細番号 (FK2)  
  返品数量    
 
サブタイプ:出庫予実績明細転送
* 出庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  転送番号 (FK2)  
  転送明細番号 (FK2)  
 
サブタイプ:出庫予実績明細廃棄
* 出庫管理番号 (FK1)  
* 倉庫コード (FK1)  
  商品コード (FK2)  
  数量    
 
転送 8.
* 転送番号    
  日付    
  FROM倉庫 (FK1)  
  TO倉庫 (FK2)  
 
転送明細
* 転送番号 (FK1)  
* 転送明細番号    
  商品ID (FK2)  
  数量    

解説
(注:番号は解答中の番号と対応します。番号が記載されていない解説は、全体に当てはまります)

  1. 倉庫エンティティの属性は、一般的に管理されているものだけを抽出しています
  2. 「入庫予実績管理」エンティティでは、日付ごとに入庫予定のオカレンス、実入庫のオカレンスを管理し、導出属性として、日ごとの入庫予定数、実入庫数の合計数を管理します
  3. 「入庫予実績明細仕入」エンティティでは、発注による入庫予定数と、入荷/仕入による実入庫数を管理します
  4. 「入庫予実績明細返品」エンティティでは、顧客に出荷した商品が返品されてきたものを管理します この後、返品された商品は、自社内で再度検品され、商品価値の見直しを行う必要があります
  5. 「入庫予実績明細転送」エンティティでは、転送処理によって他の倉庫から移動してきた商品の入庫を管理します 8.で「転送」エンティティを新たに加えています
  6. 「出庫予実績管理」エンティティでは、日付ごとに出庫予定のオカレンス、実出庫のオカレンスを管理し、導出属性として、日ごとの出庫予定数、実出庫数の合計数を管理します
  7. 「出庫予実績明細売上」エンティティでは、受注による出庫予定数と、出荷/売上による実出庫数を管理します

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解説トレーナー

Oracle / 上流工程 担当 中村 才千代

データベース設計、システム構築の上流~下流工程全般のインストラクターです。SE時代の経験を生かし「業務を知るエンジニアこそDB設計に関わるべき」「DB設計に携わるエンジニアは業務を知る人に知恵を貸してもらう」ことを伝えたいと思っています。

■認定・受賞

2000年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞
2002年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞

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