6.4 【設問】請求~入金、請求~支払

6.4 【設問】請求~入金、請求~支払

例題20 入金を管理するエンティティの検討

次に、請求から入金に関するエンティティを検討します。
顧客は、受け取った請求書に基づき、支払処理を行います。
顧客が支払うときに取得する情報として、請求書番号を管理する必要があります。
また、売掛金に関する情報も、入金処理によって残高が更新されます。

これまでのER図から請求~入金に関係するER図を示します。

請求
*請求番号
 請求日付  
 請求先顧客コード(FK1) 
 前月請求金額  
 当月入金額  
 当月税抜売上額  
 消費税金額(導出) 
 当月請求金額(導出) 
 請求元経理部門コード(FK2) 
 無効化フラグ  
 無効化元請求番号(FK3) 
 無効化理由  
 
請求明細
*請求番号(FK1) 
*請求明細番号(FK2) 
 税抜合計金額(導出) 
 受注顧客コード(FK3) 
 受注営業所部門コード(FK4) 
 希望請求締月  
 請求完了フラグ  
入金時に管理すべき情報には、次のようなものがあげられます。
入全日、入金確認部門情報、入金確認社員情報、入金顧客情報、入金方法、入金金額、入金元請求書番号

入金時、請求した金額が正確に入金されていれば問題はないのですが、入金額が不足している場合、または自社側の勘違いで二重請求に顧客が気づかず、余分に振り込まれてしまった、という場合があります。

問題

上記のような、入金の過不足にも対応できるようなモデルを作成してください。

解答

入金
*入金番号  
 入金年月日  
 入金確認部門コード(FK1) 
 入金確認社員コード(FK2) 
 入金方法区分コード(FK3)1.
 入金方法別識別番号(FK3)1.
 入会金額  
 請求書番号(FK4) 
 消込金額  
 
請求
*請求番号  
 請求日付  
 請求先顧客コード(FK1) 
 前月請求金額  
 当月入金額  
 当月税抜売上額  
 消費税金額(導出) 
 当月請求全額(導出) 
 請求消込金額(導出)2.
 請求元経理部門コード(FK2) 
 無効化フラグ  
 無効化元請求番号(FK3) 
 無効化理由  
 
請求明細
*請求番号(FK1) 
*請求明細番号(FK2) 
 税抜合計金額(導出) 
 受注顧客コード(FK3) 
 受注営業所部門コード(FK4) 
 希望請求締め月  
 請求完了フラグ  
 
売掛
*請求先顧客コード(FK1) 
*請求年月  
 前月末繰越売掛残高(導出)3.
 当月請求総額(重複)  
 当月入金総額(重複)

解説
(注:番号は解答中の番号と対応します。番号が記載されていない解説は、全体に当てはまります)

入金確認後、入金エンティティに、入金情報を入力します

  1. 入金方法区分ごとに、入金の具体的な情報を識別する一意識別子を指定します
  2. 入金後、これまでの未入金分の消し込み処理ができるよう、請求ヘッダエンティティに「請求消込金額」という属性を追加しました
    これは、入金後の売掛金消し込み処理時にセットされる値です
    この属性は、売掛金の残管理に使用されます
    同様に、入金エンティティの「消込金額」も、売掛金消し込み処理時にセットされます
    「入金金額-消込金額」の値が、未振替残として管理されることになります
    未振替残金額がプラスの場合は、顧客の入金金額が多すぎるわけで、次回請求時、請求金額から未振替残分を差し引いて請求することになります
  3. 上記2.の末振替残金額がマイナスの場合、「売掛」の「前月末繰越売掛残高」がプラスになり、当月分の請求金額に加算されて請求されることになります
    逆に未振替残金額がプラスの場合、「売掛」の「前月末繰越売掛残高」がマイナスになり、当月分の請求金額から差引かれて請求されることになります

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解説トレーナー

Oracle / 上流工程 担当 中村 才千代

データベース設計、システム構築の上流~下流工程全般のインストラクターです。SE時代の経験を生かし「業務を知るエンジニアこそDB設計に関わるべき」「DB設計に携わるエンジニアは業務を知る人に知恵を貸してもらう」ことを伝えたいと思っています。

■認定・受賞

2000年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞
2002年 Oracle University「Best Instructor of the Year」受賞

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