4.9 障害の種類とバックアップリカバリ
4.9.3 RAC
障害対策、性能要件を満たす方策として、OracleではRACを提供しています。
ここでは、次の点に焦点を当てて説明します。
- RACとシングルインスタンス
- RAC環境でパフォーマンスの鍵を握るCache Fusion
- RAC環境の障害回復
- RAC環境でのパフォーマンスチューニング
OracleのRACは、複数のノードから1つのデータベースを共有するシェアードエブリシング型のクラスタです。
1つのデータベースのデータを複数のインスタンスで参照、更新するため、データの一貫性をどう維持するかという問題がありましたが、RACはその間題を解決し、データの整合性を維持しつつ、負荷分散を実現しています。
RAC環境とシングルインスタンスの違いで管理者が将に意識するのは、データベースファイルの部分と思われます。
RAC環境において、各インスタンスが専用に使用するファイル | データベースファイル | REDOログファイル UNDO表領域用データファイル アーカイブログファイル |
初期化パラメータファイルなど | デフォルトの位置に置かれた初期化パラメータファイル デフォルトの位置に置かれたパスワードファイル |
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RAC環塊において、各インスタンスから共有されるファイル | データベースファイル | 制御ファイル UNDO表領域以外の各種データファイル |
初期化パラメータファイルなど | 共有するサーバパラメータファイル |
表4-14 RAC環境のデータベースファイル
ここで理解しておいていただきたいのは、ユーザ用のファイル群は完全に共有されていること、障害時回復に必要なログやUNDO情報は各インスタンスに固有のファイルとして識別されているという点です。
ただし、ログファイルやUNDO用のファイルも、どのインスタンスに適用すべきものかの識別はされていますが、実際の障害回復時には、他のインスタンスからアクセスできるように、共有ボリューム上に存在しています。
また、初期化パラメータファイルも、サーバパラメータファイルは、複数インスタンスからアクセスされ、共有できるように共有ボリューム上に配置します。
解説トレーナー